1.最悪の男

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「いいね、その心意気。じゃあ、プレゼンしてもらってもいいかな」 「こちらをご覧ください」 私は橘さんに自分のスマホを手渡す。 「へぇ?」 『意外』と顔に現れている。 「テーマは『世の中の不便を解決する』と設定してサプリのマッチングアプリを作りました」 「サプリのアプリ。自分で作ったの?」 「はい。システムからライティングまで全て自身で」 「へぇ〜。架空のCM案でも作ってくるのかと思ったけどアプリとは。向こうはサプリめちゃくちゃあるもんね」 「そうなんです。アメリカに留学してた時、びっくりした記憶があります」 提案したサプリマッチングアプリは日本向けではなく米国向けである。 サプリ王国のアメリカでは『病気は予防するもの』という精神で日常的にサプリを飲んでいる。そのため薬局に行けばズラーっと膨大な量のサプリが並んでおり、成分も形状も多種多様。とてもじゃないが選びきれない。 そこでこのアプリを作った。 目的や好みをぽちぽちと選んでいくと自分に合ったサプリが分かり購入できるという趣旨だ。 「市場シェアは?」 「マネタイズポイントは? 5年後のイメージは?」 「たとえば複数選択した場合の相互作用の表記は?」 コンペ並に細かく詰められたが、想定の範囲内で答えられた。
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