1.最悪の男

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反撃されるとは思っていなかったらしく床にペタンと座り込んで呆然としている松村部長。 「……なんだよ、ただの冗談だろ。可愛げがないなァ!」 男って、冗談って言えばすべて許されるとでも? 今までのセクハラ、全部覚えている。 胸に触ったのも、キスしようとしたのも、飲み会で下半身を舐めろと強要したのも、無理やり家に来ようとしたのも、すべて冗談だと? もう無理、我慢できない。 「こんなことばかり続くなら会社に訴えますよッ!」 耐え切れずはっきり告げた。 ただ会社に訴えると言ったものの……自分の会社をあまり悪く言いたくないが、セクハラだパワハラだコンプラだと社会に浸透してきているこのご時世でもこの会社はおかしいと言わざるを得ない。 ニュースになるレベルの事件が相次いで世間から大バッシングを浴びマシになってきているが、それでもまだ役職者がこのレベルの意識。 日本の流行を作っているという広告代理店マンの自負がそうさせているのかなんなのかは知らないが。 「失礼します!」 「あ、あんま調子に乗ってんじゃねぇぞ!」 謝るどころか言うに事欠いてさらなる暴言。 本っ当に無理!
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