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にこにこしながらそんなこと言われても説得力が皆無だ。けれどじっと見つめられて、負けてしまう。むかつくから割れたハートを描いてやった。アヤちゃんはしばらく眺めた後、絵についてはコメントしないまま「いただきます」と言った。なんなんだよ、と思いながら見ていると、アヤちゃんはハートの割れ目をスプーンで修復している。
「ブンカ、ありがとう」
「別に。いつものことじゃん」
「うん。ブンカが慰めてくれるから俺は心置きなくフラれてくることができる。これからもよろしくな」
ぐっと胸が詰まって返事ができなかった。これからもわたしたちは友達であって、恋人になることはありえない。改めてそう線を引かれた気がしたのだ。目頭がつんと痛む。アヤちゃんは幸いオムライスに夢中で、わたしが泣きそうなことには気づかない。深呼吸をして涙を引っ込める。
「なんでそんなに長続きしないの」
「なんでだろうな。こんなにいい男なのにおかしいよな」
またはぐらかされた。いっそ、結婚でもしてくれればいいのに。一生友達でしかいられないのなら、絶対に手の届かないところに行ってしまえば諦めもつくのではないだろうか。
「あー、喉渇いた」
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