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 アヤちゃんが買ってきてくれたノンアルコールチューハイを流し込む。ジュースみたいなものだと思っていたのに、案外お酒のような苦味を感じ、驚いて缶をまじまじと見つめる。ひょっとしたらお酒なのではないかと思ったけれど、ちゃんとノンアルコールだった。黙々とオムライスをつつくアヤちゃんの向かいに座ると、アヤちゃんは手を止めてこちらをじっと見る。 「ブンカ、泣いてた?」  慌てて目元を隠そうとしたけれど、その手をアヤちゃんに掴まれる。ずるいなあ。どうして気づいちゃうんだろう。 「わたしも失恋したの。だから、アヤちゃん。わたしのこと慰めてよ」  え、と声を発してアヤちゃんは数秒固まる。なにか言ってくれないと気まずい。 「ブンカ、彼氏いたんだね」 「失礼な。って言いたいところだけどいないよ。好きだった人に恋人がいたことを知っただけ」  これなら嘘じゃないよね。アヤちゃんがオムライスを食べに来るたび、わたしの心はひっそりと傷つき続けていたんだから。 「そっか。慰めるって、具体的にどうしてほしいの」  アヤちゃんは眉を八の字にして、あからさまに困惑しているようだ。もっと困らせてみたい。おかしな欲望が湧いてくる。 「抱きしめて、頭撫でて。『文佳、大丈夫だよ』って言って」 「わかった。じゃあこっちおいで」
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