10年後の私へ

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10年後の私へ

「10年後の私へ  あなたは今・・・ー」    当時、小学5年生の私は授業の一環で「10年後の私へ」と言う手紙を書いた。  内容は特に憶えていない。  ただ1つ。大切な事を書いた事くらいしか憶えていない。  当時の私はふわふわとしている。  周りから"いい子"と言われる子供だった。  ただ、好奇心が人一倍強く、女の子には珍しい虫を怖がらない子。  そんな中で事件があった。  好奇心は人をも殺す。そんな名言があるように、私も好奇心に負けてしまう。  その日。  母の知り合いの子供と公園に来ていた。  二人で遊んでいる時、本でしか見たことない珍しい蝶。  その蝶が私の前をふわりと飛んでいく。  私は捕まえたくなった。  知り合いの子に"ここにいて"と言い、その蝶を追いかける。  ただただ、夢中で追う。  自分で気づいた時には、車がよく通る車道にいた。  そこから記憶がない。  母から聞くに、私は車に轢かれた。そして、救急車で運ばれたらしい。  当時の私は自分が怖くて仕方がなかった。それから私は自分の心を隠すようになる。  もうあんな痛みに、襲われたくなかったから…  当時から約10年が経った今。  私はあの出来事から初めて、私が隠し続けていた私を出して泣いた。  母から渡された便箋にはこう書いてあった。 「10年後の私へ  あなたは今でも虫が好きですか?  今幸せですか?」  そう楽しそうに綴ってある。  今の私は、当時の私に一体どんな顔をして会えば良いのだろうか。  もう私には分からない。
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