4 たくさんのキャンディ

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「好きです。ずっと、小学生の頃からっ」 「……それ、理由教えてくれる?」  ずっと気になっていたことをようやくちゃんと聞くことができる。ほんの少し怖いけれど楽しみでもある。 「お守りをくれたからです」 「……それだけ?」  あまりに呆気なくて期待外れというか。 「いや、それだけじゃないですけど! 泣き虫だった俺のそばにいてくれて、守ってくれて、ひとつしか違わないのに勉強を教えてくれたりして、もうその頃から先輩しか見えなかったんです」 「それって、ヒヨコのすりこみ的な……」 「ち、違います! 今ももちろん頭いいところは尊敬するなって思うし、他の女子みたいに騒がしくないし、なにより、我慢してるところが可愛くてたまらない」 「我慢、って」  嫌な予感がする。 「俺のこと好きだって言うのを我慢してたとこ」 「えっ」 「先輩は自分の気持ちに気づいてなかったみたいですけどね」  五十嵐くんがにっこりと微笑む。 「俺に告白されるたびすごいいい顔してましたよ。キスしたくなるの必死にこらえるの大変でした」 「嘘……」 「困るって言いながら顔真っ赤にしてるし、うれしそうだし、せっかく作戦立てたのにもう離れるとか言うからまったくどうしたものかと」  わたしのことを、自分以上に五十嵐くんは知っていたらしい。今までのわたしをどう思って見ていたのだろう。想像するだけで羞恥で全身が熱くなる。 「は、恥ずかしい……」  両手で顔を覆った。きっと今みたいに顔を真っ赤にしていたのだろうか。顔を赤くしているのは告白をしてきた五十嵐くんだけかと思っていたのに。 「先輩可愛い」  両手をそっと外されて、くちびるが重なる。 「……ん、ん」  次第に深くなるキス。  あっという間に雰囲気を持っていかれてしまった。甘いキスはわたしを簡単にとろけさせる。くちびるから、舌の先から五十嵐くんの温度が伝って優の身体は熱を灯す。気づいたら身体の力がなくなるほどだった。  わたしは五十嵐くんが離れないように制服をぎゅっと掴む。  もう逃げないと、強い意志を持って。
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