僕と十三人の恋人たち

　僕と彼女はすぐに親しくなった。

　彼女は少し古風な作品を好む文学少女で、雑食的な読書をする僕とは少し趣味の傾向が違ったけれど、それが互いに新鮮だった。
　彼女は僕よりひとつ歳上で、通っている学校も家も近かったから地元関連の話題も通じる。話題には事欠かないし、穏やかな語らいを望む僕らは、会話のペースも合っていたのだと思う。

　いつしか僕の頭は彼女でいっぱいになった。
　ひとりで本を読んでいても、魅力的なヒロインに彼女の姿が重なる。

　もっと彼女に近付きたい。

　僕は彼女の特別な存在になることを望んでいた。