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三坂高校2年1組18番、間山美優。
それが私のプロフィールのすべて。勉強も運動も趣味もとりわけ特徴もなくごくごく普通。雑誌のモデルになるわけでもない。心血そそいで推し活をしているわけでもない。たぶん、私のような人間を言葉で表せば「モブ」。それも「モブ中のモブ」、「ベストオブモブ」、「モブのプロ」、「世界有数のモブ」とでもいえばいいんだろうか。
お昼休み、廊下側の机を二つくっつけてお弁当を食べたところで、鞄の中からコンビニの袋を取り出す。。
「うわー、弁当食べた後に、よく食べられるね?って、美優はいつものことか……」
中学からのモブ友。ななみんが、机の上に出したチョコレートとポテチを見てため息をつく。
「ななみんも食べる?新作のキンカンチョコレート。ポテチは春限定新じゃが使用だよ」
勧めると、ななみんはチョコを1つ口に運んだ。
その間に、私はポテチを4枚、チョコを2つ口に入れた。
「はぁー、甘いものとしょっぱいものを交互に食べるのって最高!」
ななみんの手はあっさり止まる。
「……美優、太るよ?」
「あはは、手遅れ手遅れ。いいの。私は美味しいものを我慢する人生はまっぴらだから」
デブに差し掛かりそうなぽっちゃりが私だ。身長158センチ、体重60キロ。
理想の体重は身長マイナス110だっけ?身長から100引いて0.9をかけるんだっけ?どちらで計算しても四十キロ台だよね。理想とはほど遠い。
ちょっと痩せたからって、どうせモブの人生。キラキラ輝く夢のような恋愛も、スカウトされてスターダムもあるはずないんだから。
私には、美味しいものを好きなだけ食べるほうが、充実した幸せな人生だと思ってる。
「そういえば、ななみんイラストコンテストの最終候補に残ったって言ってたやつどうだったの?」
ポリポリ、パリパリとポテチを食べながらななみんに尋ねる。
ななみんの幸せは、勉強そっちのけで絵を描くことだ。ななみんは勉強より絵。私はダイエットより美食。
「うー、だめだった!」
ななみんがスマホを取り出して、画面を私に見せる。
「ほら、きっと受賞はこれだって言ってたやつが受賞した」
「私はななみんの絵のほうが好きだけどなぁ」
「ありがとう美優っ。また頑張って描いて応募するっ。次こそ入賞するんだ!」
「やけ食いする?」
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