お留守番

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お留守番

 ベランダの隅から、オレンジ色の太陽さんが僕のお顔に当たってくる。眩しいな。  あったかいから、ちょっと眠くなるなぁ。 「ヒロくーん、ちょっといい?」  なんだろう。  お母さんがこんな風にいうなんて、ドキドキする。 「お母さんさ、商店街のお肉屋さんに行って、コロッケを買ってきたいの」  お父さんが大好きだったコロッケだ。なぁんだ、それを教えたかったのか。  僕は頷いた。 「だからさ、一人でお留守番してほしいんだ」 「え? おるすばん?」 「そうよ。お留守番。ヒロくんはもう5歳だから、できるよね?」  ぼくは、『もう5さい』と言われて、思わずうんって頭を縦に振ってしまった。 「偉いわね! さすがヒロくん」  え、でも、ちょっとこわいよ。 「それじゃあ、お母さん、すぐ戻るから。頑張ってお留守番してね」 「う、うん……」  お母さんは、買い物袋を持って、行ってしまった。  
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