17人が本棚に入れています
本棚に追加
誰もいない部屋。
僕にはとても広く感じた。
テレビ、ソファー、テーブル、時計、カレンダー、お花、時計、さっき言ったか。
あと、ゴミ箱。
僕は一人じゃなかった。
よく見ると、たくさんある。
「ねえ、テーブルさん」
──喋らないか。でも、いいや。
「テーブルさんは、誰もいない時、いつも、なにをしてるの?」
僕は少し待った。
もしかしたらテーブルさんが教えてくれるかもしれない、と思ったから。
でも、しゃべらない。
テーブルは生き物じゃないからしゃべらないのかな。
そういえば、幼稚園の先生が、ぞうきんで綺麗にお掃除してあげると、テーブルさんがよろこぶって言ってたな。
だから、テーブルさんは生き物だと思う。
「テーブルさん。どうしてしゃべらないの?」
しかたない。時計さんに聞いてみよう。
「ねえ、時計さん。誰もいないときは、なにしてるの?」
なにか、言ってるみたい。
時計さんの近くに耳を近づけたけど、なんて言っているのかさっぱり分からなかった。
チッ、チッって、言ってる。
どういう意味だろう?
「時計さんは、ちゃんと言葉をお勉強してね」
こんどは、ゴミ箱さんに聞いてみよう。
「ねぇ、ゴミ箱さん。誰もいないときは、なにしてるの?」
「そんなの、ゴミを散らかして、また戻す遊びをしてるに決まってんだろが!」
え!
「しゃべった……」
最初のコメントを投稿しよう!