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教室の窓から見た外は、強烈な光と熱に満ちている。くっきりと青い空の下はもう夏まっさかりで、窓を閉めていても蝉の声が入り込んでくる。
何があってもこの時間帯に外には出たくない。そう思いながら、夏木晶はうんざりした気分で外を見ながら購買部で買ってきた二個入りのサンドイッチのうち一つを食べ終えた。
そのとき、机に伏せて置いていたスマホが震えたので、晶は思わず顔をしかめながらスマホを取り上げた。ひっくり返した画面には、果たしてメッセージアプリの通知バナーが表示されている。送り主まで晶の予想通り、兄の慧だ。
「凛、ごめん、俺五限出られない」
通知を確認した瞬間に晶はそう言って、残りのサンドイッチを二口で平らげた。向かいに座って一緒に昼を食べていた幼馴染の立原凛は、パック入りフルーツ牛乳のストローをくわえたまま、くりっとした目を上げる。
「ん、仕事?」
「ああ、兄さんから。すぐ現地に向かうから、学校出て待ってろって」
「わかった。先生に言っとく。この暑いのにごくろうさんだね」
「嫌な予感はしてたんだよな、絶対今外に出たくないって思ってたから」
「ご愁傷様ー」
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