歪む世界の上で

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「ごめんなさい! あなたを一人にして……本当に、ごめんなさい……!」  嗚咽する彼女に近づいた惣一郎は、小柄な彼女の体をそっと抱き締めた。 「君のせいじゃない。全ては僕の選択だ。この道を歩むことを決めたのも僕、そして、人類全てを消し去ろうとしたのも僕だ」  泣き崩れる彼女の耳に囁くように、惣一郎は告げる。そうしてそのまましばらく彼女を抱き締め、その体を支えていた。 「……わかったよ、櫻。君がそう望むなら、僕はそれを叶えよう。君は……決して失いたくない、僕の唯一の人だから」  そして惣一郎は櫻を離し、その顔を見つめて言った。 「僕のために、苦しめてすまなかった。安らかな死の床にあった君をわざわざ目覚めさせてまで、僕はこれ以上ないほどの苦しみを君に与えてしまった」  櫻は激しく首を振り、再び惣一郎の肩に顔を埋めた。  惣一郎はそんな彼女を抱きとめていたが、ややあってからその体を離した。そして慧と晶の方を振り返り、二人をまっすぐに見据える。
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