覆面作家は二人いる

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覆面作家は二人いる

1番大好きな小説、1番おすすめの小説は何ですか? 聞かれたら私は必ずこの作品をあげます。 北村薫さんの覆面作家シリーズです。 はじめて「日常ミステリ」を知った作品でもあります。 ご存知の方も多いと思います。 ある日、編集部に届いた原稿。 賞の応募作ではなかったけれど、読んでみれば才能アリ。編集者の良介は、作者に会うために自宅へ行くとそこは大豪邸。 作者は大富豪のご令嬢 新妻千秋。 見るからに内気でか弱そうなお嬢様は、外に出ると……。 姓は覆面、名は作家。お嬢様探偵 新妻千秋。 千秋さんの閃きとキャラクターが魅力的で、連作短編という事もあり、すごく読みやすかったです。 良介の話を聞いて、何でもなさそうなところの疑問に気付き、すぐ外に飛び出す千秋さん。 行動力もありますね。 良介と千秋の関係性も大好きでした。 色々印象的なシーンも多いのですが、時々思い出すのは1話です。編集部に送られてきた原稿は素晴らしいけどチグハグなところがあり、とって付けたようなおかしな濡れ場がある。 そこを良介が「いらないか、一文で」と伝えると 「〈ああいうところがないと読んでもらえない〉って赤沼(執事)が言うんですもの」 ちなみに千秋さんは百科事典で調べて書いてます。 なぜこのシーンが印象的か。 私も昔、小説にはそのイメージを持っていたからです。 「濡れ場必須」くらいに思ってました。(児童、少女は除きます) 純文学でもミステリでも、必ずそういうシーンが出てくると。 2時間ドラマの見過ぎですかね(笑) 覆面作家シリーズは3冊出ていて、2019年に新装版が発売されました。 高野文子さんのイラストもとても可愛らしいです。 漫画化もされ、NHKだったかな?ともさかりえ主演でドラマ化もされています。 ともさか、可愛くて千秋さんにピッタリだったの覚えてます。 良介誰だったか、忘れちゃいました(^^; 北村作品、色々あれど、やっぱりこの作品が1番大好きです。
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