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金木犀とメテオラ
昨日からたくさんのお祝いコメント、ありがとうございます。嬉しいしありがたいですが、本当、振り落とされないかと、おっかなびっくり波に乗っています。
『忘れものにはご用心』
この話を思いつくキッカケになったのが、安壇美緒さんの『金木犀とメテオラ』です。
全然コメディじゃないです。思春期の葛藤と青春の小説です。
宮田佳乃は、家庭の事情で東京の家から遥か遠く、北海道にある中高一貫の女子校に入学する。レベルの高い学校だと聞いたけれど秀才でプライドが高い彼女は東京から離れる事に納得も出来ず、見下していた。自分が1番に決まっている。
ところが新入生総代には地元出身の奥沢叶。パッと目を引く美少女で誰もが羨む存在。だけど誰にも言っていない、知られたくない秘密があり。
双方、表面にはみせずともお互いに対する葛藤や羨望が入り混じり、ぐっと引き込まれます。
安壇美緒さん。とても描写が好きな作家さんです。
何気ない風景をこんな風に書けたらいいなって、描写が苦手は私は思います。
心の葛藤も見事です。宮田が思う自分と、奥沢から見た宮田。知られたくない自分。自分が持っていないものを持っている羨望。思春期のもどかしさも伝わってきます。
こんな素敵な話を読んでいて、なぜあんなコメディ要素に結びついたのか。
ただ『広大な敷地の新設校』というだけです(笑)でも何が作品に結びつくか、わからないものですね。
安壇美緒さんはこのエッセイでも6ページで
『ラブカは静かに弓を持つ』を紹介しています。
こちらは2023年本屋大賞にノミネートされています。もし未読の方は、こちらも素敵な作品ですので、もし機会がありましたら、手に取ってみてください。
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