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中野のお父さん
Twitterで『作品世界に入り込んでみたいミステリ』というハッシュタグがありました。
ミステリ作品で入りたいのは、断然この作品です。
だって、やっぱり殺人は怖いですから。入るなら日常ミステリ。好きなのは、米沢穂信さんの古典部や、このエッセイでも紹介した覆面作家など、色々ありますが、北村薫さんの『中野のお父さん』です!
出版社編集部所属の主人公美希。推理新人賞の最終選考に残った人物に、その旨の連絡をすると
「出していない」という。いくつかやり取りを重ね、本人であるのは間違いない。だけど、最終選考に残った応募作は今年ではなく一昨年出して、一次も通らなかった、と。
調べれば確かに一昨年応募しているが、なんともおかしい。そこで知恵を借りたくて、美希は実家に帰り、父にことの顛末を話す。すると、父はスラスラと謎を解き明かし……
この作品は連作短編集です。一つの謎で一つのお話。少しずつ美希の状況なども明かされていきますが、何より魅力はお父さん。
イケメンでもダンディでもなくて。なんならお腹が出ている、ちょっと博識のお父さん。娘の事が大好きで、自宅に娘が帰ってくるのが嬉しくて仕方がない。
そんなお父さんがほぼ自宅から出る事なく、美希の話を聞いてあっという間に謎解決。まさしく安楽椅子探偵。
北村さんらしい優しい世界。こんなお父さんの娘になりたい!
こちらの作品はシリーズで3作出ています。続き、出ないかな、と楽しみに待っています。
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