「あると」の「あ」

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「あると」の「あ」

 この前、次女と歯医者に行った時、ふと流れているピアノ曲が耳に入りました。ベートーヴェンの『月光』です。  ……好きだけど、歯医者で聴くには重くないか⁉︎  この時ふと思い出したのが赤石路代さんの「あると」の「あ」。  北海道の中学生あるとは、母子家庭で母が入院した。家庭の事を考えて高校に行かない選択をしたが、母が昔馴染みの音楽家にあるとの演奏テープを送り、東京の音楽学校へ入ることに。  その音楽家は世界的有名指揮者。住まいも下宿させてもらえる事になった。その家はあるとが昔住んでいた家のすぐ近く。  あるとの父は、あるとが幼い頃に自殺した。雨が降ったあの日。あるとの家には2人の男の子が訪ねてきた。1人はずぶ濡れで立ちすくんでいた『さえぐさしょう』。もう1人は世界的有名指揮者と同じ苗字の『千家』。  父の死と関わりはあるのか。音楽学校であるとの実力はどう評価されていくのか。そこに絡んでいく恋模様。  という、サスペンス要素ありの青春恋愛漫画です。  この作中に『月光』が出てくるんですね。  下宿先の息子、北斗。普段は軽くてピアノにも真剣に向き合わない。だけどある時、深夜に聴こえてきたのは、悲しいくらい優しい『月光』。  このシーンの印象が深くて、『月光』聴くとこの漫画を思い出します。  ちなみにタイトル『「あると」の「あ」』の「あると」は、「ソプラノ」「あると」ではなく、『モーツ』の『あ』なんです。
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