心代わり

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 正直、人付き合いが苦手だった。  いつも笑顔でそこそこな位置どりをするのに神経をすり減らし、それをキープするのにも疲れてしまった。  その結果、私は── 「はい! 了解です! 任せといてください!」  元気ハツラツになった。 「まるで人が変わったみたいだ」と、周囲の人は驚いている。  ……実はそれは半分当たり。半分はずれ。 「……はい。わかりました。では今日中に──」  こんな具合で、私は不定期的にじゃなくなる。だから、半分当たり。半分はずれ。  私は思ったのだ。私がもう一人いればいいのにと。そしたら、限界がきても大丈夫だと。  二重人格──みたいに思われるかもしれないが、違う。これはステージなのだ。私がどれだけを演じられたか。それだけ。  それだけに焦点を当てれば、まるで自分が自分じゃないような気がしてきて、心がなんだか軽くなる。  ……おそらく、もう元の私は返ってこない。  私は、私じゃないになる。  そうしなければもう、『私』は生きていけないのだから──。
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