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プリンセスを演じる
私とグレイスは王女の乗艦する戦艦シヴァで首都星ロッカビーの衛星軌道へ運ばれ、シャトルでルード宮殿専用宇宙港に降り立った。そのまま宮殿内の謁見の間に連行され、国王と対面した。
「ミク、久しぶりだ。やはりアメリアと瓜二つだな」
ペルテウス王国の国王ケネスは謁見の間の王座から私にそう声を掛けた。
私は自分の身に起こっていることを未だ完全には理解出来ていなかったが、この扱いが理不尽であることは知っていた。
「国王陛下。ラカーユから強引に連れてこられて、私達とても迷惑しています。早く元の生活に戻して下さい」
国王の横に立っている王女アメリアが小さく溜息を吐くのが見える。私の右横のミュラーが声を上げる。
「ミク様! 陛下の御前です。弁えて下さい」
「よいミュラー。ミクも私の血を分けた娘だ。王国の為に予備王女としてアメリアを演じてもらうのだから、多少の無礼は許そう」
笑顔でそう話す国王を私はキッと睨んだ。
「アメリア様を演じる? 王国の為に? どういうことでしょうか?」
その言葉に国王の横のアメリアが一歩前に出た。
「それは私が説明するわ。貴女も知ってる様に私達はオリオン帝国と二十年に及ぶ戦争をしているわ。ずっと戦況は一進一退だった。でも一年前にオリオンがキームブルグと呼ばれる人工要塞を建造して、一気に形勢がオリオンに有利になった。もうオリオン帝国軍はこの首都星の太陽系外縁まで進出してきていて、この首都星が陥落するのは時間の問題なの」
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