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あの娘を探して
『空間跳躍から通常空間に戻ります。3、2、1』
その瞬間、艦橋の360度スクリーンの前方の視界を埋め尽くす様に褐色の大地を持った惑星が現れた。
十七歳の私にとって初めての空間跳躍。そして初めて見る異様な惑星。その驚きの映像に首元の十字架の鍵石を見つめる。その鍵石をギュッと握りしめて横のミュラーを振り返った。
「……あれがそうなの?」
「はいアメリア様。あれが辺境惑星ラカーユです」
その彼の言葉に私は再び褐色惑星の地表を見つめる。
「人口はどのくらいなの?」
「はい、このラカーユには資源採掘関係者の約八万人が暮らしています」
「そう。そして、ここに私を演じるあの娘、ミクが居るのね?」
「はい、母親と二人でレストランを営んでいる様です」
私は大きく頷いた。
「分かったわ。それじゃ作戦を開始して」
「はい、王女殿下」
その瞬間、私の首元の十字架の鍵石の中で赤い竜が輝いた。
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