パワードスーツ

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パワードスーツ

 中央の機動兵器(パワードスーツ)から声が響く。 「グレイス、やっと見つけたぞ。ミク様もご無沙汰しております」  母が目を見開いた。 「その声は……ミュラーなの……?」  私はその母の言葉に驚きを隠せなかった。 「母さん、どうして近衛師団(ロイヤルガード)の人を知ってるの?」  その質問を無視して、母が私の右手を掴んだ。 「えっ?」 「ミク、こっち!」  母は私の手を引いて、店の中に走り込むとキッチンに飛び込んだ。床の上のお酒の在庫をどかすと、そこに床下収納のドアが見える。母がそのドアを上方に開くと、いつもは収納されている野菜が見えなくて、そこには下方に続く黒い穴が在った。 「……母さん、これは」 「いいから、そこに飛び込んで!」  その瞬間、母が私の背中を押して、私はその穴に飛び込んだ。  ハッと気づくと私は穴の中の滑り台の様な下り坂を滑っていた。そして突然、広い場所に滑り降りた私はそこに在る青色のに目を見張った。 「……えっ? これは機動兵器(パワードスーツ)……?」  その機体の両肩には先ほどの機体と同様に赤の竜の紋章が見える。 「そうよ、ミク。早く乗って。彼等から逃げないと」  私に続いて滑り降りて来た母が再び私の右手を掴んだ。
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