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「どうして、そんなクローン体を?」
「王女が病気や怪我をした時に身体や臓器の提供者とする為です。クローン体ですから全く拒否反応なく移植が可能なので、王女の健康や延命に大きく貢献出来るのです。それと影武者として危険な場所で王女を演じることもその役目となっています」
「そんな……」
「予備王女は人知れず王宮の一室で過ごします。そして自分が役に立つ時をジッと待つのです」
「それが、私だった……」
「私は乳母として乳児の頃からミク様をお育てしていました。ミク様、とてもお可愛くて、本当に愛しておりました。だけどいつかミク様がアメリア様の為に身体を切り刻まれると思うと耐えられなくて、この機体を盗んで、ミク様と逃亡したのです。ミク様が三歳の時でした」
「それでこの辺境のラカーユへ……」
「はい、丁度、首都星へオリオン帝国の攻撃が行われた日だったので、その混乱に乗じて逃亡に成功しました。だけど、とうとう見つかってしまった……」
私はもう理解していた。近衛騎士団は予備王女の私を捕らえに来たんだ。
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