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プリンセス・アメリア
近衛師団の機動兵器に拘束されたまま、私達はラカーユの衛星軌道上で待機していた大型戦艦に連行された。
機動兵器を降りると、私達はミュラーと呼ばれた男性に連れられ艦の中央の部屋に通された。
「フン、やっぱり、私にそっくりね……」
本当に驚いた。そこには華やかな衣装を身に纏い、王座に座っている私が居たからだ。
「貴女が王女アメリア……」
王女は大きく頷き、立ち上がると私の前に歩いて来た。
「そうよ。予備王女のミク。良かったこれで間に合ったわ」
「私に何をさせるの? 間に合ったって、どういうこと……ですか?」
私はグレイスの言葉を思い出していた。予備王女は王女の臓器提供者に……。まさか……?
王女が口角を上げる。
「大丈夫よ。私は臓器を頂戴なんて言わないわ。貴女には私を演じて貰うだけだから」
想像してなかった言葉に固まってしまう。
「……王女を……演じる……?」
「そうよ。詳細は首都星に戻ってから、父と一緒に説明するわ。でもその前に」
そう言うと王女は私の横のグレイスに歩みより、その頬を激しく平手打ちした。グレイスがそのまま床に転がる。
「えっ? 何を?」
私はグレイスに駆け寄った。彼女の唇に血が滲んでいる。見上げるとアメリアが私達を睨んでいる。
「グレイス、お前のせいで私には予備王女が居なかったのよ。今回も時間切れで私自身が対応しなくちゃならない所だった。首都星に戻ったら罰を受けてもらうわ。覚悟してなさい!」
グレイスが悔しそうに王女を睨んでいる。きっと私が演じる王女には危険な未来が待っているのだろう。
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