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プロローグ
物語の一年前。ペルセウス王国辺境惑星ラカーユ、首都サンダー市郊外。
その日、十六歳になっていた私は郊外の州間道路を電動二輪で走っていた。サンダー市まで十マイル程の地点まで走った時、路肩に停まった電動車の前で若い男性が手を振っているのが見えて来た。近づくとその男性は金髪でサングラスを掛けている。こんな寂れた場所でと訝しみながら、電動二輪を停めると男性がサングラスを取った。
それは正に私好みの美男子。その顔に見とれていると、彼が私に近付いて来た。
「やあ助かったよ。レンタカーを借りてドライブしてたら二台の電動車に強制停車させられて、金目の物も携帯も全て取られたんだ。この車の鍵石も取られたから、車が動かせなくなって困ってた」
彼に見とれていた私はハッとして答えた。
「最近この辺りで強盗が頻発しているんです。災難でしたね。多分、私の鍵石で電動車は動かせると思います」
そう言いながら首に掛けた十字架を彼に見せる。
「それが君の鍵石……。赤い竜の紋章は珍しいね」
彼に微笑むと鍵石を電動車のスロットに差し込み見事に起動してみせた。
「凄いな。この星の鍵石はそんな汎用性を持っているのかい?」
小さく首を左右に振る。
「いいえ、私の鍵石が特別なの」
男性が口角を上げて大きく頷く。
「いずれにしろ助かったよ。ありがとう。君、名前は?」
私は少し躊躇したけど電動二輪に跨りながら答えた。
「私はミク。母のレストランで働いているわ。それじゃ気を付けてね」
そう言って電動二輪を発進させた私がミラーを見ると、男性は私の方をずっと見つめていた。
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