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極道公務員
たばこポイ捨て
「あー、寝坊したー。急がないと。たばこ、窓から捨てよ。まじ、だりーなー。」
信号待ちをしてる間、たばこを窓から捨てるとしばらくすると間窓から捨てたたばこが入ってきた。
「熱ち、何にすんだこの野郎」
窓の外を見るとパンチパーマの作業着の男が立っていた。アンダーシャツの袖のところから入墨が覗いている。
(やべ、喧嘩うちゃいけない人だ。)
「道はゴミ箱じゃない。」
「はい、すみません。」
「、、、、」
「、、、、」
信号はいつの間にか青色に変わって、後ろには何台か車が溜まっていたが、誰も何も言えないでいた。
すると極道風の男は後続車の方を振り向いた。
次の瞬間、
「すみません!すぐ退きますんで!」と深く頭を下げた。
そして、たばこの男に
「さっさと、車だせぇ!」
と言い放ち、たばこの男は逃げるように去っていった。
「やっば、今の絶対ヤクザだ。死ぬかと思った。」
仕事
極道風の男は机に座っていた。
場所は暴力団の事務所ではなく、一般の執務室。
背筋は直立で、肩を張って、指先まで力が入っている。
パソコンに向かい一心不乱にデータを入力している。
カウンターに掲げてある部署名は、「公園課」
市役所の公園課の執務室に男はいた。
カウンターに若い男が来た。
「すんませーん、若亀公園のテニスコート使いたいんですけ、、、、、」
男は質問した相手の風貌を見て、窓口に来たことを後悔した。
テニスするために命を落とすことがあるかもしれないなど、想像もしていなかった。
やばい、正装で直立で正しい敬語で質問しないといけない相手だ。だらしない格好でしかもサンダルで馴れ馴れしく質問してしまった。刃物で殺傷されるか良くて拳で殴られるくらいのことは覚悟しないと、
「学生さん?」
極道風の男は若い男に訪ねた。
やばい、身元を確認してあとに引けなくしようといる。身分を偽ったのがバレればこの場で殺される、正直に答えたほうが寿命は少し伸びそうだ。
「はい、テック専門学校です。」
「サークルで使う感じ?」
「はい、専門学校のサークルで使いたいと思っています。」
「、、、、
成績は?」
「最近、立ち上げたサークルで、この前の大会は一回戦負けでしたが、これから頑張っていきたいと思ってます。」
「、、、ちょっとまってね。」
極道はどこかに電話をかけた。
「あー、いやね、学生が窓口に来てて、どうしても勝ちたいらしんだ。ううん、うん、どうもありがとう。」
極道風の男は電話を切って
「テニスプレイヤーの西島選手がコーチしてくれるそうだから、頑張って。コートいつ使いたいの?」
「えっ、あの日本人で10位」
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