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あなたを愛した理由、あなたを愛せない理由
『美冬!今度の彼、すっごくイケメンじゃない!うらやましいよ、全く』
彼氏の写真を見せたら、同じ会社で働く親友の翔子が興奮気味に言った。
カフェのテラス席にはたまたま誰もいなかったから、この話題と声のボリュームも、何とかセーフかな。
『やめてよ、ほんとに~』
『しかもどこかの会社の専務なんだって?将来の社長候補なんでしょ?』
『だ、誰に聞いたの?』
確かに、彼、田坂さんはそこそこ大きな食品会社の一人息子だから、必然的に社長にはなるだろうけど…
『美冬の彼が代わったって、社内じゃ有名だよ。特に男性社員は騒いでる。社内ナンバーワンの美人、おまけに頭脳明晰、清純派の美冬が男と別れて喜んでたら、すぐにどっかの男にさらわれたって。みんなすごく悔しがってるんだから』
どうやら誰かが、私と彼が歩いてるのを見たらしい。
全く、噂ってすぐに広まるんだから。
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