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そんなこと、気にしなくていいのに。
私のことはただのセフレだと思ってくれたらいいのだ。
本命は美由紀だったんだから、今こそ傍にいてあげないと!
そんな意味を込めて、淳之介ににっこり笑う。でも戸惑いを隠せない淳之介。
そこで私への情けを捨てられないのが淳之介の優しさなんだろうな……。
でもここが引き際だと思った。
美由紀には申し訳ないけれど、美由紀が独りになった今、淳之介は本当に好きな人の傍に居るべきなのだ。
私は大丈夫だから……。
「じゃ、宣とすれ違っちゃうから先に行くね!
美由紀、また連絡するから!」
「うん……ありがとう」
そう言って私は二人を残し、宣のバイト先に向かった。
……もう、これ以上淳之介に甘えるのはやめようと決意して。
でも結局、淳之介は美由紀に何も言わなかったんだよね。
その後、二人が付き合い始めることはなかった。
それはやっぱり私への気遣いだったんじゃないかと思うと、どうしても申し訳ない思いが募った。
◇◇
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