ハトの巣

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大小さまざまなビルが立ち並び、その間を縦横無尽に車が駆け抜ける。歩道には街路樹が植えられ、都会の中にささやかな自然の彩りを与えていた。 ロバートおじさんはあるオフィスビルの前にいた。彼はこのビルで清掃員として働いていたのだった。 風が落ち葉をさらってゆく。ロバートおじさんは風がやむタイミングを見計らい、ホウキとちりとりでそれを掃除する。彼はこの仕事を気に入っていた。適度に体を動かすことは健康にも良かった。 ロバートおじさんがそのようにして掃除をしていると、ビルの壁際に小枝がたくさん落ちているのに気付いた。何だろうと思い彼が見上げると、ビルの電飾の上に小枝が幾つか乗せてあった。器用に積み重ねるように。 しばらく考え、きっと、そうだ、とロバートおじさんはあることに思い至った。 そう、それはロバートおじさんの想像通り、ハトの巣だった。とはいえ、まだ作り始めたばかりで完成するまでにはもうしばらく時間がかかりそうだった。
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