ハトの巣

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都会に住むハトたちは時々ビルのどこかに巣を作ることを、ロバートおじさんは知っていた。そして、もしいま働いているビルでハトの巣を見つけたら、会社に報告をしなければいけなかった。そして会社からビルのオーナーに連絡して、ハトの巣を撤去することになるのだった。もちろんそれはハトのフンなどがビルの前に落ちていたら見栄えが悪いというのが、もっともな理由だった。 ロバートおじさんが尚もハトの巣を見上げていると、今まさに一羽のハトが口に小枝をくわえ、その巣に降り立ったのだった。そして、小枝を置くと、またどこかへと飛んでゆくのだった。 掃除道具を地面に置くと、ロバートおじさんは腕組みをして悩む素振りをみせた。なぜなら彼は優しい心の持ち主だったので、ハトの巣を撤去するのはかわいそうだと思っていた。それと同時にやがては誰かに見つかり撤去されるだろう、今ならまだ巣を作り始めたばかりだから、やり直すのもたやすいだろう、しかし、完成間近で撤去されることになれば、もっとかわいそうなことになるのではないか。
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