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「はぁ!? なんで」 「僕には無理だ、他の奴あたってくれって……すまん、お前がドタバタしてたから遅くなって」  俺は蓮司さんの両肩をつかんだ。 「クッソふざけんなよ!  トモどこだ、俺が直接話す」 「そんな時間ないだろ、夕方には生放送だぞ」 「だってドラムが」 「今回はプロを呼んである。俺と明と雅美の3人でデビューする」 「4人じゃないと意味ねぇよ!」 「明」  蓮司さんが俺の両腕をつかみ、そっと離す。 「明、ルミナスはもう俺達だけのバンドじゃないんだ」  穏やかな声で、子供に言い聞かせるように。 「これは仕事だ。穴は開けられない。わかってるんだろ」  「……くそっ」 「俺達皆、大人にならなきゃいけないんだ、明」 「……わかってる」      昼過ぎ、マネージャーの迎えが来た。後部座席にいつもより余裕があった。窓の外の東京は建物がありすぎて、トモがどこにいるのかわからない。  生放送の段取りを聞きつつ、俺は仲間の不在を噛みしめていた。  そこら中の人間を揺さぶって、トモがいなくなった理由を聞いてまわりたかった。  俺が責め過ぎたのか?  今だったら向き合ってやれるのに、トモはいない。  逃げ出すような奴じゃなかったのに。  トモ、お前になにがあったんだ。
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