希望

7/8
前へ
/140ページ
次へ
* 晃が廃墟ビルの屋上に着くと、空がゴロゴロと鳴り始めた。 チンはまるで晃を待っていたかのように座り込んでいる。 「こんなとこにいないで、証拠握りしめて警察行けよ。なんなら送って行ってやろうか?」 晃がチンに近づきながら挑発すると、彼は豪快に声を上げて笑い出した。 「アハハハハ!愉快愉快。そんな物あるはずないと分かっていても、不安になったんだよなぁ?俺を探さずにはいられなかった。違うか?」 しかし挑発に乗せられたのは晃の方だった。 晃は彼の胸ぐらを掴み、落下しないギリギリの所まで押しやった。 「大人しくあの金で普通に暮らせば良かったものを。バカなやつ」 「いいさ、殺せばいい!アンタがこの後どうなるかを見届けられないことだけが残念だ!」 チンは両手を大きく横に伸ばす。 晃が彼を掴んでいた手を離すと、チンはそのまま背中から落下して地面に叩きつけられた。
/140ページ

最初のコメントを投稿しよう!

373人が本棚に入れています
本棚に追加