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「は? 俺!?」
「そうよ、どんな子がいいかしら。やっぱり、オススメはネズミの子ね。よく働くし、体も丈夫で子だくさんよ」
「おいおい、ネズミは姑息で何かあるとすぐ逃げ出すぞ。やっぱり、ヒツジだよ。のんびりしていて、穏やかだし、同じようなお前にピッタリだ」
「あら、ヒツジは大喰らいだし、家が汚れても平気だって言うじゃない。いやよそんなの」
俺の付き合う相手を勝手に想像して、両親が喧嘩を始めてしまった。どうぶつさんの性格論とか全く興味がないので、とりあえずやめてくれと大きなため息をついた。
「学、聞いているの? とにかくどれでもいいけど、別のグループの属性だけはやめておきなさいよ」
「別って……肉食系?」
「そうよ。もともと、性格は合わないし、向こうは見下してくるし、いいことなんて何にもないわ。友達になることすら、オススメはできないわね」
「そうだ。アイツら、馬鹿にしてくるし、草食系には何をしてもいいと思っている。仕事上で付き合うなら仕方がないと上手く接するが、プライベートで友人としてなんて、俺はごめんだね」
両親の言うことは俺にもよく分かった。
兵藤のようなチャラチャラした遊び人で、態度がデカくて迷惑なヤツら。
肉食系と言えば、こっちではそのイメージが強い。
高い地位の職業に就いているヤツらは、それなりに自分を律して上手くやっているらしいが、根っこはみんなああいう感じなのだろう。
「あの……それじゃあ、ユニコーンは?」
「え? 神獣様?」
俺の問いに目を丸くした両親が、二人で顔を見合わせた後、ぷっと噴き出して大笑いした。
「やだぁ、学ったら。神獣様なんて、もしいたとしても、私達は近づくこともできないわよ」
「住む世界が違いすぎる。一生関わることはないだろう」
少し前なら、両親のその意見に俺も同意したはずだ。
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