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最初こそ、外の芝生の上で昼寝をしたが、天候もあるし毎回外で寝ていられないので、ということでこの倉庫を利用することになった。
ベッドに座らされた俺の膝の上に、亜蘭が頭を乗せて寝転んでくる。
そうするとすぐにウトウトとし出して、目を閉じてしまう。
本当に不眠症なのか分からないくらいの早さだ。
特別なのかよく分からないが、友達になった俺達は、亜蘭が大学に来る日、亜蘭の不眠解消に昼寝を手伝っている。
なぜか、俺の膝の上だとよく眠れるらしく、肌が合うとか何とか変な理由を述べていたが、そんな訳で協力することになってしまった。
もうひと月ほどここに来て、膝を貸しているが、亜蘭はすぐにぐすっり眠ってしまい、次の授業がある時間になると俺が揺り起こすという日々が続いている。
最初は揶揄われているのかと、不眠症が本当なのか疑ったこともあった。
この昼寝を始めてから、青白かった亜蘭の顔がみるみるうちに健康的な色に変わったので、どうやら本当らしいと気づいた。
食欲も増したらしく、痩せすぎに見えたが、少し肉も付いてきて、イケメンに磨きがかかったように見えた。
とくに休み明けの月曜日は、ひどい顔をしていることがあるので、疑うことより心配の方が勝ってしまった。
「……そういえば、この前の授業の時、いつも一緒にいる友達に、ガックンって呼ばれていたね」
すぐに寝たと思っていたが、何か思い出したように亜蘭が少し目を開けて呟いてきた。
「ああ、あだ名だよ。マナブの字は、ガクとも読むから、ルイが面白がってそう呼んでるだけ」
「へぇ……いいな。あだ名なんて……仲良しみたいだ」
「アイツらは、高校からの一緒だからなぁ。仲良いけど、別に普通の友達だし……」
「ふーん……」
亜蘭はなんだか不満そうな声を上げて、わずかに口を尖らせていた。
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