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ふと俺達の関係がなんなのか、たまに考える時がある。
側から見たら、俺はただの枕代わりだ。
亜蘭は特別な友達と呼んでいたが、ルイやマサとの友人関係とも違う。
大した労力ではないが、この男のためにわざわざこんなことに付き合っているのはなぜか。
ただの同情なのか、自分の気持ちなのにサッパリ分からなくなっていた。
だからこんな風に、変な態度をとられると、いっそう深みにハマってしまう。
「いいじゃん別に。アイツらが変な呼び方するから、学って呼ぶの亜蘭だけだし」
「え……俺だけ?」
「両親の他には亜蘭だけだよ。……俺、アイツら以外に他に友達いないし。あ……亜蘭は特別なんだろ?」
言い訳をしたかったわけではない。
ただ、亜蘭の顔が少し寂しそうに見えたので、つい親切心でそんな風に言ってみたら、亜蘭は口元に手を当てていて、ふふふっと声が聞こえてきた。
「なっ、なんだよ。変な声出して……」
「ん? 思った以上に……嬉しいなって」
顔から手を離した亜蘭は笑っていた。
彫像のような微笑も彼には合っているが、いま目の前にあるのは子供のように大きな笑顔で、それを見た俺の心臓はドクンと跳ね上がった。
トクトクと鳴り始めた俺の心臓とは逆に、亜蘭の方はそれきり目を閉じて、スヤスヤと寝入ってしまった。
これは何なんだと、訳のわからない熱に顔が熱くなって、誰も見ていないのに見られたら困ると、手で顔を覆って早く冷めてくれと願うしかなかった。
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