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まさか、別の世界、パラレルワールドに意識が飛ばされてしまうなんて……
そんなの、そんなの……
俺は絶対に……
信じない!
信じたくないーーーー!
◇◇◇
「学ーー、朝よ」
耳に響く声と、ドアをトントン叩く音で目が覚めた俺は、目をこすりながらむくりと体を起こした。
大学生にもなって母親に起こしてもらっているなんて、自分でも恥ずかしいと思うのだが、朝は弱くて本当にダメなのだ。
「やっぱり夜行性だから……」
自分でもありえない言葉を口にしてしまい、ブルブルと頭を振った。
最悪だ。
思考までおかしくなっている。
現実とは思えない事態に直面すると、人はどうにか慣れようと徐々に受け入れていくのかもしれない。
それがそうだとしても、この悪夢が早く終わって欲しいと思うのに、朝を迎えても何も変わらなかった。
俺は自分の部屋にある鏡を見て、ガックリと力が抜けて床に崩れた。
やはり俺は、ありえない世界にいるのだと、慣れない思考が、無理やり慣れようと右往左往して朝から頭の中で大渋滞だ。
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