⑥あんらっきー◯

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「お前、良いやつだな。俺は兵藤黒(ひょうどう くろ)、お前は?」 「……落合学」 「おう、落合。この借りは必ず返すぜ」 「いいよ。遠慮しとく」 「遠慮すんなって。女でも男でも気に入ったヤツがいたら言えよ。捕まえてきてやるから」  そんな狩りでもするように言われても困る。  やめてくれと俺は小さく悲鳴を上げて首を振った。  こんな重すぎるお荷物はさっさと置いて行こう。  階段を降りて、救護室の前まで兵藤を連れてきた。  ドアの前に兵藤を下ろして、中に誰かいるか分からないがノックしようしたところで、ガサっと足音が聞こえて、後ろの方から凍りつくような恐ろしい気配がした。 「おやおや、弱虫ニャンコちゃん。怪我をしたみたいだね。ずいぶんと手間を取らせてくれた」 「………クソ犬がっ、キモいんだよ!」  ゲラゲラとバカにしたような聞こえてきて、これは間違いなく大神だろうと振り向かなくても気がついた。  最初に追いかけて来たヤツらは別の方向へ行ったはずだから、二手に分かれたようだ。  リーダーの大神の登場に、どうにかできないかと救護室のドアを回したが、鍵がかかっていて中には誰もいないようだった。  大学の救護室は簡易的なもので、いつも誰かが常駐しているわけではない。  全く何もかもツイていない。  ここで俺は今朝の占いを思い出した。  タヌキの俺は、最下位で争いごとに巻き込まれる。  まさに今その状況だと頭がクラリとした。 「おや、オマケがいるね。いつもの仲間じゃない。ああ、草食系か。さすがネコだ、雑草とも仲良しとはね」  雑草とはひどい言い方だ。  恐る恐る振り返ると、やはりそこには茶髪で背中まで伸びた長い髪の、大神が立っていて、後ろに何人か仲間を引き連れていた。 「へぇ、ちょっと地味だけど、よく見れば可愛いじゃないか。ネズミ? 何でもいいけど、お腹空かせていたんだよね」  矛先が俺に向けられてビクッと体を揺らした。  まさか本当に食べられてしまうのか、それとも他の意味なのか冗談なのかも、コイツらの常識が分からない。  追い詰められた俺は必死に考えを巡らせた。  どうしよう。  どう切り抜ければいいんだ!  占いなんて信じない。  信じないけど……  残念なアナタへのラッキーへのカギは。  それは確か……  □□□
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