⑦わるいこ◯

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「遊び? それにしては、あそこにいる兵藤くんは、怪我をしているみたいですけど。……それに先輩、さっきの逃がさないぞ、と、こっちに渡せって、誰のことですか?」 「それは………」 「まさか、ここにいる、学のことじゃ……ないですよね?」  大神はついに膝から崩れ落ちて床に手をついた。  一体どうしたのかと思ったら、奥にいる大神の仲間達もそうだし、兵藤まで首元を手で押さえて苦しんでいるように見えた。 「どうか……たすけ……命だけ……は……」  大神は息ができなくて、必死に声を絞り出しているように見えた。  俺は全く何ともないのに、どうしたのかと亜蘭を見たら、亜蘭の顔から表情が消えて、いつもの青い目が、燃えるように赤くなってギラギラと光っていた。  自分が苦しめられているわけではないが、このままではいけないと気がついた俺は亜蘭の腕を掴んだ。  亜蘭がまるで別人のように見えて、少しだけ怖くなったが、とにかく止めないといけないと体が動いた。 「亜蘭! どうしたの? 亜蘭……大丈夫?」  亜蘭の頬に触れて、懇願するように撫でたら、火の海から一転して、亜蘭の瞳はいつもの青い海の色に戻った。  前を見据えていた目が、ゆっくりと動いて俺に向けられた。 「学? 泣きそうな顔をしてどうしたの?」 「だって、亜蘭が………」 「ごめんね、怖がらせちゃったね。学のこといじめていたみたいだから、ちょっと怒っちゃった」  亜蘭はいつもの微笑を浮かべて、お返しみたいに俺の頬を撫でてきた。  ちょっと怒ったのレベルではなさそうだ。  これが神獣の力なのか、大神達も兵藤もゲホゲホとむせながらみんな床に伸びていた。 「さて、後片付けを呼ぶとして、学のコレ、いつしまうのかな?」 「わっ」  亜蘭にまた耳をツンツンされてしまった。
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