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「そうなんだ……。親にもいつも怒られているんだけど、普通は……できるんだよね? 俺は、気を抜いたり、考え事をしたりとかで集中しちゃうと、ぽんっと、いつの間にか……出る」
「驚いた……、特に草食系獣人は一番早く習得するって言われているのに……」
俺みたいなのが耳を見せただけで、あのギラつき具合だ。
肉食系を恐れる草食系なら、何よりも先に覚えるようになると考えるのが自然だ。
その辺は世界が違うとかそういう説明になってしまうので、そこまでを上手く伝えられる自信がなかった。
「……できそこない、なんだと思う」
結局自分の能力の限界という話に持っていった。
もともとのこの世界の俺は、上手いことやっていたのかもしれないが、今の俺には難しいということだ。
それに忙しい亜蘭は、こんな面倒なことに関わりたいなんて思わないだろうと考えた。
それなのに……
亜蘭はあの、キラキラした微笑を浮かべて、机の上に乗せていた俺の手を握ってきた。
「そんなことを言わないで、学。君は俺を助けてくれる、かけがえのない人なんだから」
「え……いや、そんな……」
「君のおかげで、俺は今まで見ていた景色がとてもつまらないと思っていたけど、今はどこも輝いていて楽しく思えるんだ」
「俺はそんな、大したことは……」
「こんなに助けになってくれる学に、俺も恩返しがしたい」
最高のアイディアを思いついたみたいに、ポンっと手を叩いて鳴らした亜蘭は、にっこり笑って俺を見てきた。
「獣化のコントロールの仕方、一緒に特訓しようよ!」
「ええっっ!!」
「学はバイトとかしていないよね。予定が空いていたら、週末はうちにおいでよ。レポートとか一緒にやって、そっちの練習もしよう」
実家住まいで無趣味な俺は、確かにバイトはしていないし、ルイ達と遊ぶ予定もない。
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