①はじまり◯

6/6
前へ
/93ページ
次へ
 こんな世界、冗談じゃない。  ありえない。  自分はなんでこんなところにいるんだ。  もう、何度も自問自答して、壁に頭をぶつける勢いで元に戻れと願った。  しかし、世界は元に戻ることなく、俺は変な俺のまま変わることがなかった。 「……行ってきます」  玄関の鏡に映る自分の顔の目元が、少し黒いような気がして、またブルブルと頭を振ってからドアを開けて外へ出た。  地味で暗い隠キャとして、ごく平凡に静かに生きてきた。  そんな俺がなぜか、気がついたらありえない世界に飛ばされていた。  時間軸は同じだ。  だけど、今まで生きてきた世界と似ているようで、全然違う別世界。  ここは、俺がバカにしたどうぶつさん占いと、人間が融合したパラレルワールド。  この話は、ありえない世界に来てしまった俺のサバイバルライフであり、その先に恋愛まで待ち受けているというドタバタ劇である。  へんてこな世界でどんな出会いが待ち受けているのか、この時の俺には想像もできなかった。  □□□
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

350人が本棚に入れています
本棚に追加