撮影本番

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「ベッドシーンが終わったから。」 私は、そっと流君を見つめた。 「そういう事?」 「そういう事。」 流君は、うんとだけ頷くと私を追い越して行った。 さようなら。 私の愛した人。 いつまでも、この日々の事忘れない。 涙がボロボロ零れた。 「泣き虫。」 目の前に流君がいる。 「素直に認めろよ。俺が好きだって。」 「ええ、好きよ。愛している。」 今だって、あなたに抱かれたくて、うずうずしている。 「だから、さようなら。」 最後は精一杯、笑えたつもりだった。 そして流君が、背中を向けた。 肩が震えている。 泣いているんだ。 「流君……」 名前を呼んで、そっと手を伸ばすと、流君は行ってしまった。
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