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「まさか、それを理由に断らないよね。」
そりゃあ、40も超えてベッドシーンやりたくないっていう我儘は通らないと思うけれど。
「それがね、今回の目玉なんだ。」
「目玉……」
「人気俳優と、癒し系女優のベッドシーン。皆、楽しみだよ。」
私は心の中で、うーんと唸った。
相手役の木下君は、どんな思いなんだろう。
案外、木下君の方から断ってきたりして。
そんな淡い期待が、私の頭を過った。
そして、数日後の事だった。
私は、CMの仕事でスタジオを訪れていた。
「はい、三上さん。スマイル、お願いします。」
「はい。」
世間では私を癒し系だって言うけれど、どこに癒されているのか分からない。
CMは終始、にこやかに終わった。
「三上、お疲れ様。もう帰ってもいいよ。」
「ありがとう。マネージャー。」
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