今度の相手役

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「ほら、コーヒーのCM。俺、あのシリーズ、好きなんですよ。」 私の代表作。 私は、密かにドキドキした。 「木下!」 「分かってます!」 それでも、木下君は私の元を離れない。 「今度の映画、楽しみにしてます。」 「こちらこそ。」 そして木下君は、マネージャーの元に走って行った。 不倫の映画、相手役が木下流に決まったと聞いたのは、次の日だった。 私はそのメールを見て、私の目を見ながら、「楽しみにしています。」と言った木下君を思い出していた。 時間は流れて、顔合わせの日がやって来た。 「木下流です。宜しくお願い致します。」 丁寧な挨拶。人気俳優だから、チャラチャラしてるのかと思ったら、そうでもないのよね。 「三上誌奈です。精一杯頑張ります。宜しくお願い致します。」 ありきたりな挨拶なのに、木下君は一生懸命に拍手してくれる。 凄くいい子に思えた。 顔合わせの挨拶が終わり、監督が私の元にやって来た。 「詩奈ちゃん、今回期待してるよ。」 「はい。有り難うございます。」 すると監督が、私の耳元に囁いた。
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