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練習相手
撮影が始まって、毎日木下君に会うようになった。
「おはようございます。」
いつも木下君の方から、挨拶してくれる。
相手役だからかもしれないけれど、大切にしてくれている感じがする。
「はい、次のシーン入ります。」
立ち位置にスタンバイして、真っ直ぐ木下君を見る。
真剣な表情。
それだけで、この人と出会えてよかったと思う。
仕事に真剣に向き合っている人は、見ていて清々しい。
『また、会いましたね。』
『ええ。偶然って怖いわね。』
『偶然じゃないかもしれませんよ?』
木下君が、不適な笑みを浮かべた。
「はい、カット!OKです。」
さすがは、木下君。
N G無しで、どんどん仕事を進めている。
このペースだと、ベッドシーンは来週?
予定よりも早くない?
そんな事を考えていたら、ドキドキしてきた。
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