不思議駄菓子屋 銭天堂の作者・・すごい!!

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不思議駄菓子屋 銭天堂の作者・・すごい!!

銭天堂の女将といったら、迫力のある紅子さん・・有名です。 児童向けですが、大人が読んでもおもしろい!! 発想力のすごさ・・それもシリーズ化されているのに、ネタ切れにならないのはすごいです。 著者は廣嶋玲子先生。 児童文学のジャンルの方かなと思っていたのですが、図書館で大人むけのファンタジー短編集を見つけ、読んだら、膝を打ち、うなりました。 というわけで、本のご紹介です。 銀獣の集い 廣嶋玲子短編集 東京創元社 1900円+税 ファンタジー・ホラー系のお話が3本収録されています。 どれを読んでも、うまい・すごい・はずれがない!! しかもテイストがそれぞれ異なるので、違う味が毎回楽しめる!! ひとつのお話の中でも、味がどんどん変化していくようです。 紅子さんの駄菓子みたいですね。 とにかく、その発想力は天才的だと思います!! 1本目 「銀獣の集い」 舞台は日本・背景的には戦前の富豪社会。 貴族・華族・成り上がりの人たちがまだいた世界です。 老人であり大富豪の財産を継ぐという名目で5人が選ばれた。 それぞれが銀獣(鉱物と生物の両方の資質を併せ持つ)を育て、 競わせて勝利者が財産を受け継ぐことができるという老人の考えが表明される。。 銀獣とは、銀獣屋からたまごを買い、自分で育てる。 そのことで自分の理想を反映した美しい人外の容姿と、育ててくれた主人に絶対の忠誠心を持つ生き物。 石の精ともいわれ、高級な一握りの選ばれた人物しか持てないペット?としてみんなから注目される。 あれっ、なんか「たまごっち」を彷彿とさせますね。 お話は5人が、自分の人生の価値観を銀獣に反映させるので、嫉妬や愛情、傲慢、依存など人間の暗部と深部をあぶりだしていきます。 最後は意表をつく結末が用意されています。 ひたすら発想の豊かさと描写力に感心です。 5人の行動が人物ごとに章で区切られているので、考え、背景、動機がわかりやすい構成になっています。 銀獣のたまごの謎や、そのルーツ、採取の仕方もしっかり描写されているので、短編ながら読み応えがあります。 まず銀獣という発想が素晴らしいですね。 最後に5人がどうなるのか、意外な結末が用意されています。 女性か青年漫画で読みたい・・ 萩尾望都先生風の絵柄が似合いそうですぅ!! 2本目 「咎人の灯台」 アジアンファンタジー風のお話です。 罪人として孤島に流罪になったヨキという青年が、たった一人で、その島の灯台の灯を絶やさず5年をすごすことになるところからお話が始まります。 過去の罪人のほとんどが死んでいく中で、ヨキはなんとしても生き延びる決意をします。 ヨキの好きだった彼女が、実は悪女で・・ そして流罪になったのも、彼女が原因でした。 孤独に生きていく中、彼女に復讐をするためにナイフを作り始めます。 しかし、ある日、島に難破船で少女が流れ着いて、その少女の名前が、悪女と同じ名前だったのです。 その少女と二人で穏やかに暮らしていく中で、女への復讐の心を持つヨキは葛藤します。 復讐の心を持ち続けていると、自由にはなれない。 少女はヨキに、どちらを選ぶのか、選択を迫ります。 最後にヨキは決意します。自由になろうと・・ 女性漫画で読みたいです。 3本目 「茨館の子供達」 イギリス児童文学風の味付けになっています。 「グリーンノウの子供達」、あの世界観ですね。 キアと呼ばれる少女が母親と二人で、美しい黄金館で暮らしていたが、母親は昼は地下室にこもり、姿を見せない。 夜だけ一緒に過ごすが・・ 外界の人間の接触はまったくなく、母娘二人きりの生活だった。 キアは母親から外には絶対行ってはいけない、そして、日没後は必ず館にいることを守っていた。 しかし、キアはある日、偶然、7番目のキアが書き残した絵を見つけ、自分が8番目のキアであることを知る。 しかも、それ以前の7人のキアは、いろいろな理由で母親に殺されていたのだ。 8番目のキアは、殺された7人の痕跡を見つけていく。 このまま、ここにいたら殺される。 成長して生理がはじまったことで、殺された少女もいたのだ。 自由になるために、こどもしか愛さない母親、その魔女と対決をするために。 このお話は少女漫画ですね・・少女の冒険とチャレンジのお話です。 保護・依存のこども時代からの自立がテーマになります。
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