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僕は彼女が嫌いだ。
最初は入学して席が近かったから話しかけた。そのあともなんとなく一緒に行動することが多くてなんとなく二人でいた。
3か月、4ヶ月と経つにつれてそれは見え始めた。
僕の机の角を人差し指で撫でるようにして僕が気づくことをもじもじと待っている。
僕がどこかへいこうとすると必ず着いてくる。
話している時は、僕の目の奥をじいっとのぞいているみたいで、目が合っているはずなのに彼女の目を捉えられない。
いつも僕の顔色を伺って、気を遣っているのが伝わってくる。
正直、疲れた。
彼女も僕も分かっているのだ。
話すことなどないということを。
他の人といる方が断然楽だということを。
全然楽しくないということを。
その気持ちは徐々に僕の中で詰まってきて、喉を塞がれたように息苦しく、渋滞に巻き込まれた時のように苛々が積もる。
そんな僕の変化に気づいた彼女が気を遣う。
それがまた僕の中のぱんぱんな器にうっすらと乗っかる。
彼女は悪くないのだ。
合わなかった、多分ただそれだけなのだ。
彼女のすべてに嫌悪感を抱く自身の性根の悪さに笑えてくる。
気持ちというのは見るものを絞らせる。彼女の猫背やだらだらとした喋り方、足を擦るような歩き方、受け口気味の口元、そんなものしか目に入ってこなくなった。
なぜ僕らはまだ一緒にいるのだろう。
分からない。
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