□Prolog〜プロローグ〜 

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「仲良さそうだっただろ。どう見ても」 「そんなことないよ。……ってか、腕離してよ千歳」  そう伝えたけど、千歳は私の腕を離そうとはしない。 「千歳、離してってば……」 「本当に好きじゃないのか?北山のこと」 「だから、違うって言ってるでしょ」  何でこんなに千歳は、私のことに興味を持ってるのだろうか。 「だったら、お前は誰が好きなんだよ」 「はっ?」 「お前、好きな男いるんだろ? 誰だよ、教えろよ」  はっ?なんでそうなるの!? どうなってそうなったの? 「……千歳には、関係ないでしょ」 「関係なくないから」      え? それ、どういう意味……? 「もう、いい加減にしてよ。……離してって言ってるでしょ」 「……離す訳ねぇだろ」    千歳の声は少し低くて、今まで聞いたことないくらいの表情をしていた。 「千歳……?」   「……桃子」  名前を呼ばれると、掴まれた腕の力が少しだけ弱まる。 「ち、とせ……?」    千歳は私の手をそっと握ると、私をそっと引き寄せる。 「えっ……!?」  え、なになに!? ちょっと、なに!? 「桃子、お前は俺だけのものになれよ」   「……え?」
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