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「はじめまして」 ニコリと余裕たっぷりに微笑んだその男は、直人の格好を見て笑いを堪えている。 「あ、すいません…こんな格好で」 直人が言うと「いえいえ、高校時代のジャージって何故か着心地いいですよね」と笑った。 母親が「どうぞ入って」とその男を家に入れた。 伊豆佐史(イズサフミ)。 大学のグラフィック学科で学びながら、読者モデルのアルバイトもしているらしい。 スラリと身長が高く、顔も小さく手脚も長い。 170もない自分の身長を思い、直人は、コンプレックスを感じてしまった。 「…でね、この息子が管理人として、1階に住むことになっているので、分からない事は聞いてね」 は?分からない事って、俺だって分からない事だらけなのに! 直人は、母親を少し睨みつけながら、隣に立っていた。 「じゃあ、早速、明日にでも引越してきていいですか?今、友達と住んでるんですが、狭くて」 伊豆佐は、楽しげに母親の話を聞き、そう言った。 「えっ?」 直人は、思わず声を上げる。 「あ、なんかマズイですか?」 伊豆佐は、直人を見る。 切れ長の綺麗な瞳に見つめられて、男なのにドキドキしてしまった。 「あら、いいわよー!大歓迎」 母親は、手を叩いて喜んでいる。 「じゃ、明日。夕方までには、来れると思います」 そう言って伊豆佐は帰って行った。 「良かったわねえ!良さそうな人で」 母親は、嬉しそうに言う。 「それはいいけどさあ」 なにかあったらって言われても… と言いかけて、この母親に何を言っても無駄だろうと思い、取り急ぎ、自分なりにシェアハウスのルールを決めようと思った。
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