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「じゃあねぇ。明日、あと二人来る予定だから。私、ランチの約束があるから来れないけどよろしくね」 夕食を食べて母親は帰っていった。 元々アテにはしていないし、自分で色々決めたほうが良さそうなので「わかった」と返事をし、ヒラヒラと手を振った。 広い家にポツンと残されて少しだけ寂しい気持ちと解放された気持ちがごちゃ混ぜになる。 テレビではお笑い芸人が司会をするバラエティ番組。 この芸人、柊真(シュウマ)に似てるよなあ…と学生時代に好きだった人の事を思い出してしまった。 明るくて面倒見が良かった柊真の周りには、いつも誰かがいて、男女問わず人気があった。 男を好きになったのは、後にも先にも柊真だけだ。 けれど、自分の性癖に気がついたのもその頃で、女の人と付き合った事は無かった。 …柊真、元気かなあ… 柊真は、卒業と同時に関西の大学に行ってしまい、それからは全く会うことなくもう7年ほどになる。 思い出に耽っている内に眠くなってしまい、そのままリビングで眠ってしまった。
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