ハトと朝

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ハトと朝

 ***    朝。ハトの鳴き声が私の目を覚ます。  ハトの鳴き声は好きじゃない。うるさいし耳障りだし。    というか、そもそもハトが好きじゃない。  平和の象徴のくせして街の至る所でフンを撒き散らし、人様に迷惑をかけるからだ。外面だけ良くて実際はクズな私たち人間みたいで好きじゃない。  平和な世界ってのは、人に迷惑をかけてもなかなか駆除されない憎らしいハトがいてもいいようなものなのか?  それなら平和なんてくだらないものだ。  でも、ひとまずハトのことを考えるのはやめることにした。嫌いなものについて考える時間ほど無駄なものはない。  どちらにせよ起きてしまったものはどうしようもないので、体を起こす。  普段寝起きが悪い私を起こしてくれたので、今日だけはハトを好きになってやることにした。  ありがとう、ハト。明日からは嫌い。  そして、私は隣にいるであろう晴翔(はると)に話しかける。 「おはよ」 「あ、起きちゃった?」  晴翔は既に起きていたようだ。 「え、起きたけどなんか不都合でもあった?」 「いやぁ、ないない」 「えー、なんか怪しいんだけどー」 「なんもないって」  先程までいじっていたんだろうスマホを置く晴翔。  何をしていたのかちょっと気になりはしたけれど、まぁ、たぶん友達のLIMEにでも返信していたんだろう。  晴翔は人気者だから。  なので、あまり詮索しないでおくことにした。
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