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美しくなるために
いつも美しく、スタイルも良く、格好よく生きる。それが私。
綺羅星 星羅
2022年10月
『彗星の様に芸能界に現れた歌姫』と毎日どこかの報道で話題になる。
彗星の様に。なんて、普通の人間にできるわけないじゃないの。努力したのよ。努力。
秘密を守ってくれるパーソナルトレーナーに驚くほどのトレーニングを課せられてこの体を作り上げた。
無駄な肉はないけど、女性らしさをなくさないための薄い筋肉をつけ、綺麗な首から肩のライン。しなやかな腕。豊満ではないけれど程よく盛り上がったバスト。そこから続く引き締まったウエスト。ウエストを目立たせるようなきゅっと上がったヒップ。その下に続く形の良い脚。細く引き締まった足首。
すべてが私の成長期をかけて作られた芸術品なの。
彗星のように現れたのは、私のマネージャーでもある母親の作戦。
レッスンはお赤飯を焚いてもらった日から始まったわ。子供の身体が大人になるときが一番体形が変わっていく時だから。
まだ子供だった私の身体に負荷をかけすぎないように徐々に始まったトレーニング。身長もある程度欲しかったので過度な筋肉はつけなかった。
12歳から17歳まで毎日休みなく続いたトレーニング。
専用のシェフをつけて栄養素も考えられた、私にストレスの溜まらない好物で構成されたメニューが並ぶ毎回の食卓。でも勝手な外食なんてとんでもない。友達との買い食いなんて一度もしたことがないのよ。
中学校の時は義務教育なので普通に公立中学に通っていたけど、授業が終わるとすぐに帰宅。中学校は給食ではなくお弁当の中学校を選んで、食事制限はそこでも続いていた。日差しは必要だが日焼けの跡などはつけたくなかった母は、病院で偽の診断書を作り、プールには一度も入れなかった。
高校は通信で卒業する様言われ、その頃から人前にはでなくなった。
日光浴も必要なのでそれは誰にも見られない家の庭で適度に行われた。
それだけ気を使って作り上げられた私のボディ。素晴らしいに決まっているでしょ。
歌もおなじ。
簡単に歌姫とか言わないで。毎日のレッスンの賜物よ。
はじめはクラシックの声楽の先生が家に来ていた。声の出し方を覚えると、段々、歌い方を変えるように、カラオケに通いつめ、どんな歌でも最低で98点。ほぼ100点をとれるようにレッスンした。
パーソナルトレーナーとのトレーニング。
カラオケでの母親のレッスン。
通信高校の勉強で毎日が過ぎていった。
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