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くれなぁ~いのぅぅぅぅぅ~指ぃ~輪をぉぉぉぉぉ~君ぃ~にあぁ~げぇ~るぅぅぅぅぅ~……
大袈裟に感じる程のアレンジを加え、いかにも数十年の年季が入った渋さを感じさせるような純彦の名を騙る男性の歌声が、スピーカーを通じて会場中に流れた。その歌声と音楽に合わせるように一糸乱れぬダンスを披露するフラッシュモブのダンサー達や、ステージ上で歌う純彦の名を騙る男性と自ら進んで歌って踊るような人ではない拓海のパフォーマンスなどによって会場中は大盛り上がりとなっていたが、彩名は未だに混乱していた。
――どうなってんの!?……香織!! 瑠璃!! 周りのみんな!!……宮沢君!! 今歌っているのは偽者だよ!! 本物の……私のおじいちゃんじゃないよ!!――今すぐ周りに言いたいと彩名の心の中で思いが込み上げるも、周りの雰囲気に圧倒され続けていた。
あぁぁぁしたぁぁぁも~あさぁぁぁってぇもぉ~きみぃぃぃのそぉばぁにぃぃぃぃぃ~……
サビに入った時だった。
「彩名!!」
「行くよ!!」
香織と瑠璃がそう言うと、未だ状況を整理出来ていない彩名の腕を掴むと共に背中を思い切り押し、ダンサー達の中央で踊る拓海の前に連れ出したのだ。
「ちょっちょっ!! 待って!! 待っ!!」
彩名の声を無視し、香織と瑠璃は踊りを止めた拓海の前に彩名を立たせた。
ぼぉぉぉくぅぅぅはぁぁぁ~きみぃぃぃをぉぉぉ~あぁぁぁいしぃぃぃてぇぇぇるぅぅぅぅぅ~
純彦の名を騙る男性による歌が終わり、ダンサー達が彩名と拓海を円形に囲むようにしゃがみこみ、両手を高く上げた。たくさんの人の腕で大きな花を表現したかのような即席のステージの中で、彩名と拓海が誰にも邪魔されず立っているようだった。
そんな2人に割り込むように、司会者が彩名と拓海の間にマイクを差し出した。マイクを見た拓海は、話し始めた。
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